巻頭法話(42)
「落ち込むのは、人間の本性」1998年8月
それを解決するには、名前を変えた方がいいかもしれません。赤ちゃんには一つの名前、1
歳になればまた違う名前。人は刻々と違いますからね。5歳になれ
ば、赤ちゃんの時とはまったく違う存在ですから、違う名前をつけた方がいい。そうすると、誰が誰だかわからなくなっちゃいますね。すると、『魂』なんて変
な考え方はなくなるのではないでしょうか。でも、普通の世界では、それは無理なことですからね。
仏教は、すべてのものは、無常で一時的で瞬間しか存在しないもので、その瞬間の存在さえ
もあらゆる因縁によって組み立てられた現象にすぎないと説いてい
ます。この話を正しく理解するならば、『すべてのもの』と言えば『私』も含まれているということなのですが、その事実を皆、見事に忘れるのです。生命はど
のように現われたか、輪廻はあるのかないのか、生命は有限か無限か等々、皆、気楽に考えますが、無限大まで考えても納得のいく答えにはたどり着かないので
す。ただの時間の浪費です。いくら考えても、自分自身の悩み苦しみ不満はそのままです。ですから、このような無駄なことを考えることなく『自分』と言って
もそれは②のみであるという事実に気づくこと、それこそ正し
い行うべき、有意義な探求なのです。その事実に気づいた人のみ、苦しみを脱出するの
です。